認印の借用書

実印ではなく認印の借用書が無効となるわけではないですが、借用書の効力として、万一に備え、例えば後々のトラブルで裁判になるなどを考慮し、実印の方が望ましいと思われます。なお認印を実印と偽ることは別の問題を生じることもあります。

借用書は認印でもいい?

もしかしたら、以下のような経験があるかもしれません。

「知人にお金を貸す際、借用書を作成しました。ところが相手が実印を持っていなかったので、認印を押してもらいました。後日、この借用書は無効だと言われてしまいました。」借用書は契約のひとつです。本来ならば、たとえ口約束であったとしても無効というわけではありますが、後日いろいろと問題が起こりうる可能性を考慮して書面(今回の場合は借用書)を交わすわけです。

借用書について、ご存じない方は、最初に借用書の書き方をご参照ください。

借用書が認印であっても、本来はすべて無効というわけではありません。しかしながら、「私はお金を借りていない」と主張されたとき、すなわち裁判のときなどの証明という意味で面倒になります。一番望ましい形は借用書を作成する際、相手に実印で、印鑑証明をもらうことです。また実印を含めて本人自筆のサイン(署名)を必ず書いておくようにさせると良いでしょう。

お金が返ってこないかもしれないなどの理由で心配ならば、最初から一切断るように習慣付けておくのが良いとは昔からよく言われることですが、信頼していた人から裏切られるほど、悲しいものはありません。「人を観る目が無かった」と言われればそれまでですが、借用書を作成したのに無効だと言われるのは納得できるものではありませんね。

以下実印関連でご存じない方もいらっしゃるかもしれませんので、説明を加えます。

実印の目的は

実印を押させる意味は、裁判等になったときに「何の書類か分からないで印鑑をした」などという言い逃れを通させないためです。すなわち、借用書に基づいて借金の契約する意思があったことを証明することと、契約したことが本人であることを明確にすることの目的があります。

相手が実印を持っていない場合は

もし相手が実印を持っていないなら、お金を貸さないというのも防御策として、ひとつの方法です。そもそも未成年や学生さん、社会人になりたての方ならともかく、普通、実印は持っています。実印を持っていることを口外しない(あえて表に出して言わない)だけです。少なくともビジネスされている方は必ず持っています。

どうしても相手が実印を持っておらず、認印で借用書を作成せざるを得ない場合には、必ず氏名、住所、日付などをサイン(署名)してもらってください。パソコンやワープロで作った借用書の場合は最低でも相手の名前を本人自筆で書かせ、印をもらうようにしましょう。間違ってもパソコンやワープロで作った相手の名前に認印を押させて終わりにはしないように。この場合ですと、第三者からみて借用書によって契約した本人の確認が全く取れないからです。何れにしましても話がスムーズに運ばない場合は弁護士や弁護士事務所にご相談されることをオススメします。

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